第5回:日本の介護制度とは?
- Manabu Kagiyama
- 6月9日
- 読了時間: 3分
〜公的介護保

公的介護保険の仕組みと課題
老後を日本で過ごすにあたり、誰もが気になるのが「介護」の問題です。アメリカでは民間保険や自己資金による介護サービスが中心ですが、日本では2000年からスタートした公的介護保険制度によって、一定の要件を満たせば多くの人が低負担で介護サービスを受けられます。本記事では、制度の仕組みと課題をわかりやすく整理します。
公的介護保険制度の基本
日本の介護保険制度は、40歳以上の国民が保険料を支払い、65歳以上になって介護が必要となったときにサービスを受けられる仕組みです。
● 加入者の区分
第1号被保険者:65歳以上の人すべて
第2号被保険者:40〜64歳の医療保険加入者(特定疾病に限る)
● 利用の流れ
市区町村に要介護認定を申請
認定調査・医師の意見書をもとに審査
「要支援1・2」「要介護1〜5」 に区分される
ケアマネジャーと相談してケアプランを作成
サービス利用スタート
使えるサービスと自己負担
介護保険で利用できるサービスには以下があります:
訪問介護(ホームヘルパー)
デイサービス(通所介護)
訪問看護・リハビリ
施設入所(特養・老健など)
福祉用具の貸与や住宅改修補助
サービス利用時の自己負担は原則1割(所得により2〜3割)で、月額の上限も決まっています。たとえば要介護2で月18万円分のサービスを使った場合、自己負担は1.8万円〜5.4万円程度になります。
高齢帰国者にとっての利点
アメリカでは介護は自己資金や家族頼りになりがちですが、日本ではこの制度によって介護の社会化=家族の負担軽減が図られています。帰国後に住民票を登録すれば、自動的に介護保険証が交付され、必要に応じてサービスを申請することができます。
また、各自治体に設置されている地域包括支援センターが、介護や福祉に関する相談の窓口となっており、ひとり暮らしの高齢者でも安心して支援を受けられる仕組みが整っています。
制度の課題と今後の見通し
制度は非常に有効である一方で、いくつかの課題も指摘されています。
人手不足:介護人材の確保が難しく、都市部では入所待機が長期化
地域格差:地方と都市部でサービスの質・量に差
費用の増加:高齢化の進行により、保険料・公費負担が増大中
介護離職:家族が仕事を辞めて介護する「介護離職」が社会問題に
こうした問題に対応するため、今後はITの活用や外国人介護士の受け入れ、在宅介護支援の拡充など、制度改革が進められています。
まとめ
日本の公的介護保険制度は、65歳以上であれば所得にかかわらずサービスを受けられる、世界的にも先進的な制度です。アメリカから帰国して日本で老後を過ごす方にとって、この制度をうまく活用することは、安心で持続可能な生活を送る鍵となります。
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